教育原理 重要語句 まとめ⑤
融合カリキュラム
複数の教科における共通する要素や関連する内容を取り出し、教科の枠をはずしてそれらを融合し、新しい教科や領域を編成したカリキュラムをいう。多教科並列カリキュラムから広領域カリキュラムへの過渡的な段階にある形態。
螺旋型カリキュラム(スパイラル・カリキュラム)
同様の教育内容が、その内容を深めながら上級の学年で繰り返されるカリキュラムをいう。教科における基本概念の構造を習得するために、それらの連続的な発展性を重視した学習を行うためのカリキュラムである。
アクション・リサーチ
研究者と実践者の協力と共同作業により、教育の実践的な課題に対して、その解決と実践の改善を目指す継続的で反省的な研究。一九四〇年代後半から五〇年代前半にかけて、社会心理学者のレヴィンによって提唱された研究方法である。
ジグソー学習
アメリカの人種差別のある学級で、生徒が共同して学習が進められることを目的として開発されたグループ学習である。この学習は、最初に学習班で活動したのち、班を組み替えて同じ課題をもったジグソー班で活動し、再びもとの班へ戻って報告をするという方法。
EI理論
論理数学的・言語的な能力を示す知能指数(IQ)だけでは、人間の知性を説明できないという立場から、社会的知能の下位概念の一つとして「情動知能(Emotional intelligence=EI)」という概念が生まれ、アメリカのサロベイとメイヤーによって提唱された。
メディア・リテラシー
人間がメディアを使いこなし生活に役立てる能力。文字中心のリテラシー概念に留まらず、映像・電子媒体を通じたコミュニケーションを受け止め、理解し、自分から発信することまでが含まれる。
ゆとり教育
学校での知識のつめこみ教育や学力偏差値に基づく「輪切り」が、児童生徒に否定的影響を与えているという理解にもとづき、一九七七年改訂の学習指導要領【本文・解説】で「ゆとりの時間」(学校裁量時間)が創設され、九二年からは学校週五日制の導入など、およそこの四半世紀にわたって教育内容の削減、授業時数の減少が図られてきた。
各校種の学習指導要領はこちらから↓
学 力
広義には現代的生活を営むうえで誰もが獲得すべき能力と捉えられ、とりわけ基礎学力は、学力の基盤になる領域と位置づけられている。
学習指導要領
小・中・高校・特殊教育諸学校の教育課程に関して国が示す基準が学習指導要領で、文部科学省の告示行為により、法的拘束力をもつと理解されている。
学力の剥落
いったん習得したかにみえる学力が、その後に剥げ落ちること。
教育投資論
教育に対して投資を行うことでどのような効果、とりわけ経済的な効果をもたらすのかに関する論議。国民的な規模で学力を向上させるための政策科学の一環といってよい。
国際学力調査
近年ではIEAやOECD、あるいはユニセフによって国際的な学力調査が行われ、参加国での教育論議に拍車をかけている。ただし、調査によって学力の定義が異なることを忘れてはいけない。
国際教育到達度評価学会(IEA)
オランダに本部を置く非営利の国際学術研究団体で、これまで「第一回国際数学・理科教育調査」(一九六四年)、第二回調査(八一年)、第三回調査(九五年)、第三回第二段階調査(九九年)を実施して結果を発表している。
「落ちこぼれ」と「ふきこぼれ」
授業がわからない、授業についていけないという「落ちこぼれ」に対して、授業が簡単すぎてしまうために、すでに理解していることを教えられて嫌気が差したり、退屈してやる気を失ってしまっている状態を「ふきこぼれ」という。
グループ学習
伝統的には「学級」がそのまま、一つの学習集団である。つまり一斉授業といわれる指導・学習形態がそれである。
ティーム・ティーチング
協力指導体制、すなわちティーム・ティーチングについては、小学校では「学年ティーム」が、中学校では「教科ティーム」が構成され、新しい指導体制として確立されている。
異学年グループ活動・タテ割りグループ活動
全学年をタテ割りにしてグループをつくり、清掃活動や奉仕活動、体験的活動を中心とした学習活動である。給食、運動会の色別対抗の応援、手づくり遊び集会のような集会活動、総合的な学習の時間での体験活動などにみられる。
課題設定学習
課題設定学習は、一定のテーマのもとで子どもたちが学習課題を設定していく学習である。すなわち、一定のテーマのもとで、子どもたちの興味・関心を生かす学習といってよい。
課題選択学習
課題選択学習とは、課題を学習者が選択し、その選択した課題を追究していくやり方である。教師は一つの単元に複数の学習課題を用意する。課題選択学習は単元内コース選択学習とも呼ばれる。
学習時間のモジュール化
学習時間に関しての「基本的単位」という意味である。歴史的にはモジュラー・スケジューリングという形で、特に一九六〇年代から七〇年代にかけて、アメリカの高等学校に導入されてきた。
完全習得学習(マスタリー・ラーニング)
一斉授業で不足する点を補い、学習者が次の学習へ向かうために必要な最小限の学習内容の習得をすべての学習者に保障しようとするものである。一般には、算数・数学、英語、国語等の学習内容のうち系統性の明確な部分を取り上げて指導する場合が多い。
契約学習
子どもが教師に学習活動について契約を交わして行う学習である。契約にあたって、何について、何を用いて、だれと、どんなスケジュールで学習するのかはっきりさせねばならない。
個別指導
子どもたち一人ひとりの学習に重点が置かれ、その子に適した学習課題、学習材および学習時間が与えられることになる。学習課題が一人ひとり全く違ったものとして与えられる場合と、同一の学習テーマのもとにあって、違った課題が与えられる場合がある。
自由進度学習
子どもたち一人ひとりが自分のペースに従って学習していく活動である。もちろん、最初の学習への導入の部分は学級全員で一斉に行うものとする。また、最後のまとめの部分も学級全員で行うものとする。しかし、その中間では、子どもたちは自分のペースで学習していく学習である。
順序選択学習
順序選択学習は、学習すべき課題はいくつか決まっているが、どの課題から学習してもよいとする学習活動である。
適性処遇学習
適性処遇学習と名づけられた授業は、自由進度学習を組織するときに、子どもたち一人ひとりの持つ適性を考慮しようとする学習活動である。
二学年グループ学習・ペア学年学習
生活科に一・二年生が合同で取り組んでいる学習である。一・二年合同で行うメリットは多い。他学年とペアを組んで交流を深めることで、子ども同士、子どもと教師、教師同士の人間関係を豊かにすることができる。
発展課題学習
発展課題学習は部分的な課題選択学習である。すなわち、まず、学級全員に共通な課題を学ばせ、そこで学んだことから発展させてもう少しやってみたいと思う別の学習課題を学習できるようにした学習活動である。
NIE(「教育に新聞を」)
新聞界と教育界が協力し、新聞を教材に使って学習に役立てる運動である。この運動は一九三〇年代にアメリカで始まった。日本では一九八五年の新聞大会で提唱され、八九年からパイロット計画がスタートした。
生き方学習
総合的な学習はすべてが「生き方学習」といえる。高等学校の場合には、小・中学校で七年間の総合的な学習を体験してくることになる。進路・進学は個々人にとって大きな課題である。そこで、社会の中での自分の存在や役割を考えることが求められ、将来設計に向けて「自分はいかにあるべきか」を明らかにしていくために、自分自身を見つめ考える学習が特に必要である。
生活科と総合的な学習
生活科は教科として目標・内容が定められている。具体的に取り組む活動、取り上げる教材は各学校で違っても、目標・内容は共通である。一方、総合的な学習は学習指導要領でねらいは明記されているが、目標・内容は定められていない。
概念地図法
子どもたちの学習プロセスを的確に判断するために工夫された評価法であって、学習者の概念間の関係をネットワークの形で図示させようとするものである。
形成的評価
元来はアメリカのスクリヴァンがカリキュラム評価の文脈で使用した用語。それをブルームが授業(マスタリー・ラーニング)のプロセスで実施される評価行為の意味で使用した。
工学的アプローチと羅生門的アプローチ
「工学的アプローチ」は、教師の意図的な計画化とそれに基づく目標分析と教材配列による授業の合理的な組織化の様相を表現している。他方、「羅生門的アプローチ」は、「目標にとらわれない評価」「即興を重視する」という表現に代表されるように、教師の意図からはみ出す部分に着目し、子どもたちの学びの多面的な展開を活性化しようとするものである。
子どもの権利
代行説と参加説
代行説とは、教育の目標づくりは本来は子どもたちに属するものではあるが、子どもたちの未熟さと専門的な知見の必要から、大人である教師がそれを「代行」することを意味する。参加説とは、「子どもの権利条約」にもとづくものであって、子どもを保護の対象とのみみなすのではなく、公共社会の構成員として権利の主体であるとみなし、権利実現の過程に子ども自身が積極的に「参加」していくことを促す考え方である。
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