教育原理 重要語句 まとめ③
学級担任制
一人の教師が、一つの学級の児童・生徒の教科指導および生徒指導のすべてにわたって担当し、一義的に責任を負う教授・学習のシステムをさす。わが国の学校において教育組織の根幹をなすもの。
学級風土
学級の子ども達が感じ受容する教室を支配する雰囲気をさす。風土は、集団の雰囲気と同義に用いられ、学級におけるよき風土づくりが学級経営上の切実な課題である。
学級閉鎖
伝染病の発生や流行のおそれに備え、予防上の必要から学級を単位に学校の設置者が臨時的に休業の措置を講じることを学級閉鎖という(学校保健法一三)。
教師の基礎・基本としての学級経営
学級経営は、学級に編成された一団の子ども達に対して、年間を通して継続的に人間関係の構築などの諸条件の整備をはかり、好ましい学習・生活環境を提供する営みであり、教職のイロハである。
複式学級
異なる年齢の児童生徒や複数の学年をまとめて編制された学級。幼稚園、小・中学校では、原則として同年齢による学級を編制するとされている。少人数による複式的な指導としてイエナ・プランは国際的にも有名。
学級崩壊
学級において規律や秩序が失われ、学級担任の指導性や権威が子ども達によって否定される状態をさす。集団教育という学校の機能が成立しない学級の状態のこと。
少人数指導
学級とは異なる少人数による学習集団を編成して個に応じるきめ細かな指導の実現をめざす取り組みをさす。少人数指導は、第七次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画の実施によって実現をみることになった。
生活集団と学習集団
学習や生活することを目的に編成される集団を総称していわれ、学級がこの両者を兼ね備えた集団として長く存在してきた。近年は、学習集団と生活集団の両機能を一元的に果たしてきた学級について、学習集団については形態の多様化をはかり、生活集団については学級を重視するとして、学習指導と生徒指導に機能を分化させる考えも提起されている。
アーティキュレーション
初等・中等・高等教育の学校段階や中等教育段階における複線化などの制度上の「区切り」のこと。内容的側面における「区切り」、すなわち各教科の始期、選択、教科間の関連や教育方法・教授組織をさす場合もある。
オープン・エデュケーション
子どもの創造的な活動を中心に主題中心のカリキュラムと授業を創造する教育運動として、一九六〇年代に英国で展開されたインフォーマル・スクール運動の試みが、一九七〇年代の米国に導入され生み出されたもの。
ティーム・ティーチング(協力教授組織)
学年・学級の壁を破り、相互の協力・連携を密にし、教授・学習の必要に応じて、弾力的かつ柔軟な指導方法をとる授業方式。わが国には、一九六〇年代初めに紹介され、その実践研究が広まった。
ドルトン・プラン
一九二〇年代の米国マサチューセッツ州ドルトンのハイスクールで行われた個性尊重を原理とする授業方式。創始者はパーカスト女史。時間割を廃止し、生徒は自分なりのペースで自学自習する。
ハウス制
埼玉県の伊奈学園総合高等学校など大規模学校において管理・教育の形式化・官僚化を避けるために、教師・生徒組織をいくつかの「ハウス=小さな学校」に分けることで小規模校の利点を取り入れる試み。
ホームルーム
生徒の管理や指導のために学校生活の単位集団としての恒常的生徒集団を組織し、これに担任教師を配して毎日一定時間指定された部屋に集まるようにしたもの。
モニトリアル・システム
一八世紀末から一九世紀初頭に英国のベルとランカスターが開発した授業様式。一斉授業の始まりと説明されることも多いが、正しくは多数の児童をモニター(助教)を用いて教授する方式というべきである。
異年齢集団編成
縦割り集団とかミックス・ホームルーム、縦割り学級などと呼ばれる試みなど、年齢の異なる子どもを学習・生活集団として編成することをいう。
一斉授業
教壇と教卓、黒板に向かって一方向に並べられた机。そこで同一学年の子どもたちを対象として、同一の内容が教師を中心に一斉に伝達される授業。最初に構想したのはコメニウスである。
学級担任制
学級の児童・生徒の学習指導や生活(生徒)指導とそれらの管理を、そこに配属された教師が担当する仕組み。小学校の低学年段階で多くとられる全教科担任制はその一つで、児童の指導と管理に対して全面的に責任を負う方式。
持ち上がり制
同一教師が二カ年以上、同一児童・生徒を教育する教授組織をいう。
習熟度別指導・編成
学習内容の理解や知識の定着あるいは技能の習得の程度等に応じて、個に応じた適切な指導方法の工夫を行い、どの生徒も学習内容を確実に身につけられるようにすることを習熟度別指導といい、それを学習集団編成に適用することを習熟度別編成という。
専科担任制
小学校において、九教科のうちとくに技能教科に属する音楽、図画工作、家庭、体育などの特定の教科指導のみを担当する専科担任の教員が、当該教科の指導を学級担任に代わって行う教授組織の一形態をいう。
中高一貫教育
中学校・高等学校の学校段階区分をなくす制度、あるいは、カリキュラム編成、教員間の協力、生徒交流等の点において中学・高校の区分が重要な意味を持たない程度まで連携が図られた制度をさす。
等級制
明治初期の日本の初等教育で採用された学習集団編成の方式。「級」とは「課業の階梯」を示す概念であり、児童は学習進度別に級分けされ、試験の成績によっては落第や飛び級もあった。
統合教育
心身障害児ができる限り健常児と一緒に教育を受けたり、生活を共にしたりする教育形態をいう。
(1)完全統合方式
(2)通級方式
(3)巡回教師方式
(4)校内交流方式
(5)学校間交流方式
(6)地域交流方式
などがある。
無学年制
同年齢の児童・生徒をグルーピングした学年・学級を核とする教授学習組織を批判し、学年の枠を取り払った個別学習を基本とする学習組織として構想されたのが、無学年制である。
教科センター方式
従来の教師が学級に移動して授業をしてきた方法をやめ、すべての教科について生徒が移動する方式。生徒がホームベースと呼ばれる自分の居場所を中心にして、自分で時間を管理し、自分の意思で教科教室に移動する。
少人数指導
基礎学力の向上ときめ細かな指導をねらいとして、従来の学級単位とは異なる少人数の学習集団を組織して行う指導のあり方をいう。
PTA
PTAは、保護者と教師の間、あるいは保護者同士の間に信頼関係を構築するものとして重要な役割を果たすものである。
仲間集団
年齢、社会的地位や興味、関心の近い成員で構成される集団。幼児期から児童期前期においては、同年齢の近所の友だちと一緒に遊ぶというかたちで仲間集団が形成される。
家庭教育学級
家庭における教育のあり方や親の教育上の責任、子どもの発達や性格形成などについて学習する機会を保護者に提供することを目的とした社会教育事業の一つ。主に公民館において開設されている。
家庭訪問
家庭訪問は、担任教師が児童・生徒の家庭を訪問し、そこで、子どもたちの家庭での様子や生活の状況を把握したり、学級・学校の教育方針を保護者に伝達したり、その子どもについての情報交換や話し合いをすることを通して、担任教師と家庭が子どもの教育に関して理解しあい、協力関係を築くことを目的としている。
学社連携
学社連携とは、学校教育と社会教育の連携という意味である。現在、総合的な学習の時間の創設や学校週五日制、さらには「開かれた学校」の理念のもとでの取り組みの中で、両者のより強固な連携と協力のあり方が問われている。
就学援助制度
給食費や通学費、学用品費、修学旅行費、日本体育・学校健康センター掛け金など、児童生徒を学校に通わせる上で必要な諸費用を支払うことが経済的に難しい家庭に対して、就学を援助するための制度。
「生きる力」
「生きる力」は、「自ら学び、自ら考え、自ら行動して問題を解決する資質や能力」「他人を思いやる心や感動する心など、豊かな人間性」として解されている。現在の文部科学省の教育改革のスローガン。
第4の領域
「第4の領域」とは、中教審第一次答申「二一世紀を展望した我が国の教育の在り方について」(一九九六年七月)の中で提言された言葉で、それは「従来の学校・家庭・地縁的な地域社会とは違」って、「同じ目的や興味・関心に応じて、大人たちを結びつけ、そうした活動の中で子供たちを育てていく」諸々の活動を指す。
地域教育連絡協議会
地域教育連絡協議会は、中教審答申「二一世紀を展望した我が国の教育の在り方について(第一次答申)」で提言された、学校を含めた地域の機関や団体・グループが相互に連絡と協議を行い、またネットワークづくりを進めるための機関。
通学区域制度の弾力化と学校選択制
東京都品川区や足立区、日野市、三重県紀宝町などの自治体において、学校選択制が実施され(いずれも小・中学校ともに)、二〇〇三年度からも新たに東京都港区や多摩市(小・中)、文京区(中)、大津市(小)などで導入が予定されている。 どの学校に子どもを入学させるかを決定するのは親の意思に基づくものなので、結局は家庭の教育力や親の教育的関心の有無(高低)によって、学校は選択されることになる。さらに、学校選択制の導入は、小・中学校の段階から児童生徒間、学校間に序列化と競争をもたらすという意見もある。
民生委員(児童委員)
民生委員は、都道府県知事の推薦によって厚生労働大臣によって委嘱され(民生委員法第五条)、その任期は三年である(同第一〇条)。民生委員は、児童福祉法で定められている児童委員を兼ねている。
メンター
ギリシア神話の中のオデュッセウスが、その子テレマコスを託した良指導者の名前「メントール」に由来している。良き指導者(助言者)、指導教師のことを指す。
教員研修(現職教育)
教師になるための準備教育が「教員養成」と呼ばれるのに対して、教師として就職した後の研究・訓練を「教員研修」または「現職教育」と呼ぶ。
教職経験者研修
研修体系の基礎を成すもので、五年、一〇年、二〇年といった一定の教職経験を有する教員全員を対象として実施される研修。
校内研修
校内研修は、形態別に見ると、学校としての共同研修(全体研修)、学年・教科・領域別の集団研修、同好・自主グループによる研修、各人の個人的研修などに分けられる。
初任者研修制度
昭和六三年に教育公務員特例法の改正によって創設され、平成元年より実施された新任教員のための研修制度。採用後一年間、校内および校外での研修を義務づけるもので、新任教員に対して、実践的指導力と使命感を養うとともに、幅広い知見を得させ、円滑に教職生活に入っていけるよう援助することをねらいとしている。
専修免許状
昭和六三年の免許法改正により創設された大学院修士課程レベルの免許状。大学院修士課程レベルの資質の高い教員を確保するとともに、一種免許状を有する現職教員の研修意欲を高めることをねらいとしている。
「総合的な学習の時間」と教師の力量
平成一四年度の「総合的な学習の時間」の全面的導入によって、教師に新たな力量が求められるようになった。すなわち教師が新たなカリキュラムや教材を開発する力である。
「大学における養成」と「免許状授与の開放制」
第二次大戦後のわが国の教員養成の原則。教員養成を中等教育レベルから高等教育レベルへの引き上げと、教員養成の内実は真理を探究する大学の研究と教育によって支えられるべきであるということを意味する。
同僚性
近年、教師の専門的力量形成には、同僚教師の援助や助言がきわめて大きな役割を果たすことが改めて注目される中で、学校内の教師同士の共同関係や援助の重要性を指す言葉として使われる。
特別免許状制度
大学での養成を受けていない者に、都道府県教育委員会の行う教育職員検定により教員免許状を授与する制度。昭和六三年の教育職員免許法の改正により発足。
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